大人のスウェット論│ただの「服」で終わらない。背中で語る、知的な違和感。
デザイナーのNobuです。
私自身、30代という時間を過ごす中で、スウェットというアイテムとの距離感が少し変わってきたと感じています。
楽だからと安易に選べば単なる「部屋着」に映り、流行りのロゴを追えば若作りな印象を与えかねない。同世代の皆さんも、似たような葛藤を感じたことはないでしょうか。
私たちがストリートウェアに求めるべきは、リラックス感の中にある"知性"、そして他者とは異なる"センス"です。

「STOPABLE Wall Sweatshirt」
そんな今の自分の感覚を投影した一着です。単なる防寒着ではなく、着る人のアティチュード(姿勢)を可視化する「メディア」になれると思って作りました。
喧騒の中で「立ち止まる」
都市のスピードは加速し続けている。
「止まるな」「進み続けろ」。そんな無言の圧力が、街の大きな交差点にも、SNSのタイムラインにも溢れている。
その中で背負う、無機質な壁(Wall)と、相手を見つめる停止スイッチ。
流れに逆らうためのバリケードのようであり、同時に、自分自身のペースを取り戻すための聖域のようでもある。
「Unstoppable(止まらない)」ことだけが正義とされる世界で、あえて「STOPABLE(止まることができる)」という選択肢を提示する。
この背中は、すれ違う人々に静かな波紋を広げる。
それは挑発なのか、それとも余裕なのか。
言葉よりも雄弁なストーリーが、そこには存在する。
スウェットシャツは絶対「パイル生地」がいい
思想を纏う服であっても、機能的であること。
これは大人の衣服における絶対条件です。
個人的な感想ですが、一般的な厚手の裏起毛(フリース)ではなく、吸湿性と通気性に優れた「パイル生地」を採用しました。
暖房の効いた電車内やオフィス、あるいは日差しが強まる春先の午後。
裏起毛特有の、あのじっとりとした蒸れや、暑すぎて脱ぎたくなるストレスがとにかく嫌です。
タオルのように汗を吸い、風を通すパイル生地は、秋口から春先まで、日本の気候において最も長い期間、肌に近い場所で活躍します。
肌触りはドライで、しかし質感はタフ。
毎日袖を通したくなる実用性を、徹底して追求しました。
「引き算」で成立する存在感
Don't Pushでは、あまりごちゃついたデザインは出していません。
主張のあるグラフィックだからこそ、スタイリングはシンプルに削ぎ落とす。
スラックスやブラックデニムで下半身を引き締め、足元は革靴でもいい。
サイズはジャストよりもワンサイズ上げ、生地の余白とドレープを楽しむ。
派手な服で視界に入るのではなく、意味深なメッセージで記憶に残る。
そんな高度なコミュニケーションを楽しむための、大人のための選択肢です。

